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ドイツ音名一覧と読み方総まとめ!なぜシはH?覚え方や英語比較を徹底解説

朝霧 美緒 朝霧 美緒 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
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吹奏楽やオーケストラの合奏現場、あるいは音楽理論の学習において、「ゲー(G)」「ツェー(C)」「ベー(B)」といったドイツ音名は日常的に飛び交います。しかし、慣れ親しんだ「ドレミ」のイタリア音名や、ポピュラー音楽でおなじみの英語コードネームと混同し、戸惑った経験を持つ演奏者は少なくありません。

とりわけ多くの初心者が直面するのが、「なぜシの音がBではなくHなのか」「シャープやフラットがついたときの発音法則はどうなっているのか」という疑問です。日本のクラシック界や吹奏楽指導ではドイツ音名が事実上の共通言語となっているため、基礎を正しく把握しておくことは演奏のスムーズな意思疎通に直結します。本稿では、ドイツ音名の基本体系から変化記号の法則、各言語との対照表、現場で即戦力となる覚え方のコツまで網羅して解説します。

【基本編】ドイツ音名の読み方と一覧|ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー

ドイツ音名一覧

ドイツ音名の基本幹音(ピアノの白鍵に相当する7つの音)は、アルファベット表記を用いながらも、英語とは全く異なる独特のドイツ語読みを行います。クラシック音楽の楽曲名(例:ベートーヴェンの『運命』は「ハ短調 / c-moll」)やチューニングの指示でも頻繁に登場します。

まずは基本となる7つの幹音の読み方と、日本語・英語・イタリア音名との対応関係を整理します。

イタリア音名(階名) ドイツ音名(表記) ドイツ音名(読み方) 英語音名 日本音名
ド(Do) C ツェー(Tse) C(シー) ハ
レ(Re) D デー(De) D(ディー) ニ
ミ(Mi) E エー(E) E(イー) ホ
ファ(Fa) F エフ(Ef) F(エフ) ヘ
ソ(Sol) G ゲー(Ge) G(ジー) ト
ラ(La) A アー(A) A(エイ) イ
シ(Si) H ハー(Ha) B(ビー) ロ

英語音名と表記上の文字はほぼ同一ですが、アルファベット7番目の「シ」だけが「B」ではなく「H(ハー)」になる点が最大の注意点です。合奏中に指導者から「ゲー(G)の音を長めに」と言われたら「ソ」、「ハー(H)のピッチを合わせて」と言われたら「シ」を指しています。

最大の謎を解明!なぜ「シ」はBではなくHなのか?歴史的背景と違い

「なぜアルファベット順(A, B, C, D, E, F, G)なのに、シの音がBではなくHになってしまうのか」――これは音楽を学ぶ多くの人が最初に抱く疑問です。この謎を解き明かす鍵は、中世ヨーロッパのグレゴリオ聖歌と写本文化にあります。

10世紀頃の西洋音楽において、旋法(モード)の響きを整えるために「シ」の音だけは状況に応じて半音下げた「シ」と、通常の「シ(ナチュラル)」の2種類が使い分けられていました。当時の音楽家たちは、この2つを楽譜上で明確に区別するため、次のように書き分けました。

  • 丸いb(b rotundum / 軟音):柔らかい響きを持つ「シ」を表すために丸みのある小文字のbを使用。
  • 四角いb(b quadratum / 硬音):鋭い響きを持つ「シ(ナチュラル)」を表すために角ばった四角いbを使用。

時代が進み、活版印刷技術が普及する過程や手書きの写本が重ねられる中で、角ばった四角いb(b quadratum)の文字がアルファベットの「h」と見誤られ、そのまま「H」として定着しました。一方、丸いbはそのまま「B」として残り、「シ」を指す記号になりました。

その結果、ドイツ語圏では「B=シ(ベー)」「H=シ(ハー)」という独自の音名体系が確立されたのです。なお、角ばったbは後にナチュラル記号()やシャープ記号()の原型となり、丸いbはフラット記号()の原型となりました。

シャープ・フラットの変化法則|isとesの仕組みと例外パターン

ドイツ音名において、派生音(半音上がった音・下がった音)を表すルールは非常に論理的です。接尾辞(サフィックス)を幹音の後ろにくっつけるだけで完成します。

  • シャープ()がついた半音上の音:幹音の後ろに「-is(イス)」をつける
  • フラット()がついた半音下の音:幹音の後ろに「-es(エス)」をつける

1. (シャープ)がついた音:語尾に「-is」

シャープの変化音は、例外がなく極めてシンプルです。幹音にすべて「-is」を追加して発音します。

  • C:Cis(ツィス)
  • D:Dis(ディス)
  • E:Eis(エイス)
  • F:Fis(フィス)
  • G:Gis(ギス)
  • A:Ais(アイス)
  • H:His(ヒス)

2. (フラット)がついた音:語尾に「-es」と3つの例外

フラットの変化音は語尾に「-es」をつけますが、発音のしやすさ(母音の重複回避)から3つの例外(E・A・H)が存在します。

  • C:Ces(ツェス)
  • D:Des(デス)
  • E:Es(エス)(※EesではなくEが省略される)
  • F:Fes(フェス)
  • G:Ges(ゲス)
  • A:As(アス)(※AesではなくAが省略される)
  • H:B(ベー)(※Hesではなく歴史的経緯から「B」と呼ぶ)

さらに半音2つ分の変化を表す重嬰音(ダブルシャープ:𝄪)は「-isis(イスイス)」(例:Cisis=ツィスイス)、重変音(ダブルフラット:𝄫)は「-eses(エスエス)」(例:Deses=デスエス、Heses=ヘセス / B=ベーベー)となります。

【完全対照表】ドイツ音名・イタリア音名(ドレミ)・英語・日本語の比較

実用性を重視し、半音を含む12半音すべての呼び方を網羅した対照表です。楽譜の調号確認やスコアリーディングの際に手元で確認できるよう設計されています。

鍵盤の位置 ドイツ音名 ドイツ音名(カタカナ読み) 英語音名 イタリア音名 日本音名
ド C ツェー C ド ハ
ド / レ Cis / Des ツィス / デス C# / Db ド / レ 嬰ハ / 変ニ
レ D デー D レ ニ
レ / ミ Dis / Es ディス / エス D# / Eb レ / ミ 嬰ニ / 変ホ
ミ E エー E ミ ホ
ファ F エフ F ファ ヘ
ファ / ソ Fis / Ges フィス / ゲス F# / Gb ファ / ソ 嬰ヘ / 変ト
ソ G ゲー G ソ ト
ソ / ラ Gis / As ギス / アス G# / Ab ソ / ラ 嬰ト / 変イ
ラ A アー A ラ イ
ラ / シ Ais / B アイス / ベー A# / Bb ラ / シ 嬰イ / 変ロ
シ H ハー B シ ロ

吹奏楽・オーケストラ現場で役立つ実践ノウハウ|移調楽器とコードネームの罠

ドイツ音名が最も威力を発揮するのが、吹奏楽やオーケストラなどの合奏現場です。その理由は、「実音(Concert Pitch)」と「移調楽器の記譜音」を正確に呼び分けるために不可欠だからです。

吹奏楽では、管長や構造によって基準となる音が異なる「移調楽器」が多数混在しています。

  • B管(ベーかん):トランペット、テナーサックス、クラリネットなど(楽譜のドを吹くと実音の「シ=B」が鳴る)
  • Es管(エスかん):アルトサックス、バリトンサックス、アルトクラリネットなど(楽譜のドを吹くと実音の「ミ=Es」が鳴る)
  • F管(エフかん):ホルン、コーラングレなど(楽譜のドを吹くと実音の「ファ=F」が鳴る)

合奏のチューニング時に指揮者が「B(ベー)を出して」と指示した場合、それは全員が「実音のシ(ピアノのシ)」を一斉に鳴らすことを意味します。このとき、B管の奏者は楽譜の「レ(D)」ではなく「ド(C)」を、Es管の奏者は「ソ(G)」を演奏します。ドイツ音名を実音共通言語として使うことで、楽器ごとの調性のズレを解消しているのです。

コードネーム(ポピュラー音楽)との混同に注意

バンド演奏やジャズで使われる「Cmaj7」「Bm7」といったコードネームは英語表記です。一方、クラシックの和声学で「C-Dur(ツェードゥア=ハ長調)」「a-moll(アーモール=イ短調)」と呼ぶのはドイツ語表記です。

特に注意すべきは「B」という表記です。ポピュラー音楽のコード譜で「B」と書いてあれば「シ・レ・ファ」の和音(英語のB)ですが、クラシックや吹奏楽で「B」と言えば「シ(単音)」を指します。ジャンルによる文脈の違いを把握しておくことが事故を防ぐポイントです。

音域を一発で見分ける「オクターブ表記」一覧と挫折しない覚え方のコツ

クラシックのスコアや声楽の音域指定では、どのオクターブの音かを特定するために、文字の大小や数字、プライム記号(')を組み合わせたオクターブ表記法(ヘルムホルツ式音名表記)が使われます。

音域区分 表記例 ドイツ語読み ピアノ上の位置(目安)
二点(2点) c'', c2 ツェー・ツヴァイ 高音部(ソプラノの高音域)
一点(1点 / 中央ハ) c', c1 ツェー・アインス ピアノ中央の「ド」
小文字音(小音域) c クライン・ツェー 中央ドの1オクターブ下(テノール音域)
大文字音(大音域) C グロース・ツェー 低音部(チェロ・バス音域)
コントラ音 C1, ,C コントラ・ツェー ピアノ最低音域(コントラバス最低音)

例えば「一点のアー(a1=440Hz / 442Hz)」は、オーケストラや吹奏楽で世界基準となるチューニングの「ラ」の音を指します。

挫折しないドイツ音名の覚え方3ステップ

  1. まず「C・F・G」の主要3音を覚える:ピアノの基本である「ツェー(C=ド)」「エフ(F=ファ)」「ゲー(G=ソ)」を口に出して定着させます。
  2. 「H=シ」「B=シ」だけを強烈に意識する:最も間違えやすい「ハー」と「ベー」の関係性をセットで反復します。
  3. 「はイス」「はエス」の呪文で変化音を当てはめる:Fis(フィス)、Cis(ツィス)、Es(エス)、As(アス)など頻出の調号から順に慣れていくのが最短ルートです。

【ドイツ音名一覧】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ドイツ音名で長調と短調はどう表しますか?
A1:長調は「Dur(ドゥア)」、短調は「moll(モール)」をつけて表現します。また、長調の主音は大文字(例:C-Dur=ハ長調)、短調の主音は小文字(例:a-moll=イ短調、c-moll=ハ短調)で書き分けるのが厳格なルールです。

Q2:ドイツ語で「Es」や「As」が「Ees」「Aes」にならないのはなぜですか?
A2:ドイツ語の発音上、母音が連続して発音しづらくなるのを防ぐためです。「E+es」は結合してEs(エス)に、「A+es」は結合してAs(アス)に省略表記されます。

Q3:なぜ日本国内の音楽教育や部活動でドイツ音名が広く使われているのですか?
A3:明治時代に日本の近代西洋音楽教育がスタートした際、東京音楽学校(現在の東京藝術大学)をはじめとする教育機関が主にドイツの音楽理論と指導者を導入した歴史的経緯があるためです。その伝統が吹奏楽連盟やクラシック界全体に定着し、現在も標準的な共通言語として機能しています。

まとめ:ドイツ音名をマスターして音楽の理解度を一段深めよう

ドイツ音名は、一見すると英語やイタリア語と入り混じって複雑に感じられますが、その根底にあるのは「-is」「-es」といった合理的かつ一貫した文法体系です。「なぜシがHなのか」という歴史的経緯を理解し、7つの基本幹音と変化記号の法則を頭に入れておけば、合奏指導の指示やスコアの調性表記に迷うことはなくなります。

移調楽器の多い吹奏楽やアンサンブル、さらにはクラシック楽曲の分析に至るまで、ドイツ音名は音楽的なコミュニケーションを格段に円滑にしてくれます。ぜひ本稿の一覧表や覚え方のコツを手がかりに、日々の練習や演奏現場で積極的に活用してみてください。

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朝霧 美緒

プロ野球とサッカー、五輪競技の試合と記録を担当。リーグ公式の記録ページと球団発表を照合し、成績は公式記録の数値をそのまま載せています。

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